障害が原因で、学校で障害児が配慮のない罰・懲戒を受ける。対処方法を紹介

   

障害児への罰・懲戒は、「心身の発達に応ずる配慮」が条件です。

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1、障害を持つ子が、学校で罰・懲戒を受けて困る。

障害への配慮のない懲戒は、違法行為です。
  • 障害児が、学校で先生から注意されて、ペナルティを受ける。
  • ADHDによる注意力の欠如が原因で、学校で居残りさせられる。
  • 忘れ物をしたら、無駄な漢字の書き写しのペナルティを受ける。
  • LD学習障害の障害児が、テストの点数が悪いので、再テストの罰を受ける。

このように、障害を持つ子が、学校で罰・懲戒を受けることがあります。

学校の先生に相談しても、障害への配慮の要望を聞いてもらえないと、困ってしまいます。

学校の先生の言い分は、だいたい、次の通りです。

  • 他の子と同じ基準でやっているだけ。
  • 子供の成長を思って、やっているだけ。
  • 学校の方針なので、従ってもらう。
  • これくらい我慢できないなら、この学校ではやっていけない。

学校の先生が、子供に罰・懲戒を加えられるのは、法律で認められているからです。

ただし、先生であれば何でも許されるのではなく、先生の罰・懲戒にはルールが法令で決められています。
先生が、障害児へ罰やペナルティを加えるときには、「心身の発達に応ずる配慮」が条件です。

つまり、障害児への配慮のない罰・懲戒は、先生による違法行為なんです。

2、罰や懲戒を加える根拠法令は、学校教育法第11条

学校での懲戒を認めている法律が「学校教育法第11条」です。

学校教育法

第11条 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

体罰は禁止で、懲戒には2つの条件があります。

このように、どんな理由でも体罰だけは禁止されていますが、体罰以外なら、先生は子供に罰・懲戒を加える「懲戒権」が法律で正式に与えられています。
しかし、この学校教育法第11条の懲戒権には、2つの条件が書かれています。

  • 1、教育上必要があると認めるとき
  • 2、文部科学大臣の定めるところにより

「1、教育上必要があると認めるとき」とは、不必要な罰・懲戒はダメってことです。
学校の先生が「気にいらない」という理由では、懲戒を加えることはできません。
これは当たり前ですね。

文部科学大臣の定める、懲戒の条件

「2、文部科学大臣の定めるところにより」とは、法律とは別に、文部科学省令で、懲戒権の条件を決めています。

それが、学校教育法施行規則の第26条です。

学校教育法施行規則(文部科学省令)

第26条 校長及び教員が児童等に懲戒を加えるに当つては、児童等の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならない。

例えば、仮に、条文が「年齢に応ずる」や「学年に応ずる」であったなら、同一学年の全員を対象として、障害児であっても同じ基準で、罰・懲戒を加えていいことになります。
もし、条文が「学年に応ずる」であったなら、「小学6年生なんだから」「もう中学生なんだから」と言った、学年に応じた一律の基準で、罰やペナルティを加えられることになります。

しかし、条文は「心身の発達に応ずる」なので、心身の発達が遅い障害児には、「障害の程度に応じた配慮をしなければならない」ことになっているのです。
学年に応じた一律の基準では、「心身の発達に応ずる配慮」ではないので、「学校教育法施行規則第26条に背く、罰・ペナルティとなります。

つまり、「小学6年生なんだから」「もう中学生なんだから」と言った、障害へ配慮のない基準での懲戒は、法的根拠のない不適切な懲戒で、法律に違反する、違法行為なんです。

障害児への配慮のない罰・懲戒は、学校教育法施行規則の第26条に違反する行為です。

3、法的根拠のない懲戒は、教員による刑事事件です。

当たり前ですが、法律で認められない懲戒は、刑法に違反する犯罪行為です。

学校で行われる行為であっても、法令的に根拠のない罰・懲戒は、教員による違法行為であり、犯罪行為です。
先生方は、子供に罰・懲戒を加える時には、十分に教育上必要な考慮をして、適切な指導を心がけてください。

なお、法的根拠のない懲戒は、刑法が規定する脅迫罪(刑法第22条)や強要罪(刑法第223条)に該当する可能性があります。
勉強不足の教員による刑事事件ってことですね。

刑法

(脅迫)
第222条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

(強要)
第223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

先生方は、脅迫罪・強要罪をやめて、障害児へ配慮した適切な指導をお願いします。

4、対処方法は、違法行為と指摘すること。

障害への配慮のない懲戒は、違法行為だと、きっぱり指摘しましょう。

障害児への配慮のない罰・懲戒は、法的根拠のない「教員による違法行為だ」と、きっぱりと、学校の先生に指摘しましょう。

  • 1、学校教育法の第11条、学校教育法施行規則の第26条に違反
  • 2、刑法の脅迫罪(刑法第22条)や強要罪(刑法第223条)に該当

学校が話を聞いてくれない場合や、不適切な罰・懲戒を繰り返す場合には、学校を監督する教育委員会に、学校の違法行為を指摘しましょう。

学校の先生の言い訳への反論の事例

学校の先生が使う言い訳への反論の事例です。きっぱりと法令違反を指摘しましょう。
  • 他の子と同じ基準でやっているだけ。

健常児と、障害児が同じ懲戒の基準なら「学校教育法施行規則の第26条に違反」する行為です。
懲戒を加えるにあたっては、「心身の発達に応ずる配慮」が、教員の義務です。
他の子と同じ基準での懲戒は、教員による違法行為なので、即刻、やめること。

  • 子供の成長を思って、やっているだけ。

子供の成長を思ったとしても、障害に配慮のない罰・懲戒は法令違反です。
子供にとって、法令遵守の模範となるべき教員が、法令違反をやるべきではない。
教員自身の法令違反を棚に上げて、子供の成長という言い訳は、見苦しい。
子供の成長を思うなら、教員による違法行為は、即刻、やめること。

  • 学校の方針なので、従ってもらう。

学校の方針なら、その方針自体が法令違反です。
本当に学校の方針なら、この学校は、組織ぐるみで法令違反を犯す、反社会的な学校です。
「学校の方針」の言い切るなら、反社会的なこの学校との会話は、これ以上しない。
学校を監督する教育委員会に、この反社会的な学校の法令違反を強く講義し、改善の指導を依頼します。
その方針を決めた全責任は学校長になるが、学校長は「学校の方針」ということで、本当にいいのか?

  • これくらい我慢できないなら、この学校ではやっていけない。

学校がやってはいけない、法令違反をやっている。
この学校は、法令違反を我慢しろと言うのか?
法令違反への我慢を強要するなら、この学校は、組織ぐるみで法令違反を犯す、反社会的な学校です。
学校長も「法令違反への我慢を強要」するのか?
学校を監督する教育委員会に、この反社会的な学校の法令違反を強く講義し、改善の指導を依頼します。

正しい法令の知識で、障害児への配慮のない罰・懲戒を防ぎましょう。

5、認められる懲戒の具体的な事例

懲戒の具体的な参考事例が、文部科学省の局長通知にあります。

障害へ十分な配慮した上で、教育上必要な場合なら、障害児への懲戒も認められます。

現在の、懲戒・体罰に関する解釈・運用は、平成25年3月13日の、文部科学省の局長通知の中で、「学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例」として、まとめられています。
この参考事例は、健常児と障害児の区別なく、全ての児童生徒に対しての、懲戒の基準です。

通常、懲戒権の範囲内と判断されると考えられる行為として、次のような行為が例として挙げられています。

  • 注意
  • 叱責
  • 居残り
  • 別室指導
  • 起立
  • 宿題
  • 清掃
  • 学校当番の割当て
  • 文書指導

以前は、平成19年2月5日の文部科学省の局長通知「学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰に関する考え方」として、まとめられていましたが、平成25年に、現在の参考事例に置き換わりました。

認められる懲戒の具体的な事例、文部科学省の局長通知より

通常、教員による懲戒権の範囲内と判断されると考えられる、具体的な行為は、次の内容です。
  • 放課後等に教室に残留させる。

これはいわゆる「居残り」の罰・懲戒ですね。
体罰ではないので、教員による懲戒として認められています。
障害児でも、その子の障害が原因でなければ、「居残り」の懲戒は認められます。

ただし、肉体的な苦痛が伴えば、「居残り」も体罰になります。

例えば、「トイレに行きたいと訴えたが、一切、室外に出ることを許さない。」、これは「居残り」でも、肉体的な苦痛が伴うので、体罰に該当します。
体罰は、教員による犯罪行為で、法律で禁じられています。

  • 授業中、教室内に起立させる。

教室内に「立たせる」ことは、教員による懲戒として認められます。
しかし、廊下や別室に「立たせて」指導を行わないままに放置することは、義務教育における懲戒の手段としては許されません。

「宿題を忘れたら、廊下に立ってろ!」、これは義務教育の懲戒として認められないのです。

単に授業に遅刻したこと、授業中学習を怠けたこと、などを理由に、教室から退去させることは、子供の義務教育の授業を受ける権利を侵害するのが理由です。
ただし、他の児童生徒の学習を妨げるような場合には、教室の外に退去させる懲戒も認められます。

この「立たせる」ことも、例えば、「子供が苦痛を訴えたが、そのままの姿勢を保持させた。」としたら、肉体的な苦痛が伴うので、体罰になります。

  • 学習課題や清掃活動を課す。
  • 学校当番を多く割り当てる。

本来なら必要なかった活動や当番を割り当てることで、子供に反省を促します。
この活動を割り当てる懲戒も、例えば、「給食の時間を含めて子供を長く」活動させることにより、空腹を感じさせると、体罰になります。

  • 立ち歩きの多い児童生徒を叱って席につかせる。
  • 練習に遅刻した生徒を試合に出さずに見学させる。

これらの事例では、肉体的苦痛を伴わないものに限ります。
正座で授業を受けるよう言ったり、正座で試合を見学するよう言って、「子供が苦痛を訴えたが、そのままの姿勢を保持させた」場合には、体罰になります。

6、体罰は、刑法の傷害罪・暴行罪です。

体罰は、教員による犯罪行為です。

当たり前ですが、教員が、他人に暴行を加えることなんて、絶対にできません。
学校教育法第11条でも、「体罰を加えることはできない。」と、はっきりと書かれています。

もし、教員が子供に体罰を加えた場合は、単なる犯罪行為です。
体罰は、刑法が規定する傷害罪(刑法第204条)や暴行罪(刑法第208条)に該当する可能性があります。

体罰(暴行)を受けた場合は、即刻、警察に通報しましょう。
子供が怪我をした場合は「傷害罪」、怪我がなくても「暴行罪」として、警察に通報します。

もちろん、学校の校長先生に通報した上で、学校の管理する教育委員会にも、暴行(体罰)を通報します。
警察に通報しないと、学校や教育委員会は、刑事事件を隠蔽しようとする可能性があります。

いまどき体罰はないと思いますが、万が一の時は、刑事事件なので、警察に対応してもらいましょう。

刑法

(傷害)
第204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(暴行)
第208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

体罰の具体的な事例、文部科学省の局長通知より

体罰の具体的な事例です。

身体に対する侵害を内容とする体罰

  • 体育の授業中、危険な行為をした子供の背中を足で踏みつける。
  • 帰りの会で足をぶらぶらさせて座り、前の席の児童に足を当てた児童を、突き飛ばして転倒させる。
  • 授業態度について指導したが、反抗的な言動をした複数の子供の頬を平手打ちする。
  • 立ち歩きの多い子供を叱ったが聞かず、席につかないため、頬をつねって席につかせる。
  • 生徒指導に応じず、下校しようとしている生徒の腕を引いたところ、生徒が腕を振り払ったため、子供の頭を平手で叩く。
  • 給食の時間、ふざけていた生徒に対し、口頭で注意したが聞かなかったため、持っていたボールペンを投げつけ、子供に当てる。
  • 部活動顧問の指示に従わず、ユニフォームの片づけが不十分であったため、子供の頬を殴打する。
体罰は単なる暴力で、傷害罪・暴行罪の犯罪行為です。

被罰者に肉体的苦痛を与える体罰

直接的な体罰でなくても、肉体的な苦痛を伴えば、体罰となり、犯罪行為です。
  • 放課後に児童を教室に残留させ、児童がトイレに行きたいと訴えたが、一切、室外に出ることを許さない。
  • 別室指導のため、給食の時間を含めて生徒を長く別室に留め置き、一切室外に出ることを許さない。
  • 宿題を忘れた児童に対して、教室の後方で正座で授業を受けるよう言い、児童が苦痛を訴えたが、そのままの姿勢を保持させた。

正当防衛なら、体罰ではない。

やむを得ない正当防衛なら、体罰ではありません。

子供が教員に対して、暴行を加えようとした時に、正当防衛をする行為は、体罰ではありません。
また、子供同士の暴行を阻止するために行為も、体罰ではありません。

  • 児童が教員の指導に反抗して教員の足を蹴ったため、児童の背後に回り、体をきつく押さえる。
  • 休み時間に廊下で、他の児童を押さえつけて殴るという行為に及んだ児童がいたため、この児童の両肩をつかんで引き離す。
障害児でも、健常児でも、体罰は犯罪です。

7、まとめ、障害が原因で学校で罰・懲戒を受ける時の対処方法

障害を持つ子が、学校で配慮のない罰・懲戒を受けて困った時の、対処方法です。
  • 学校の先生が、子供に罰や懲戒を加える根拠法令は、学校教育法第11条
  • 懲戒での障害への配慮を、学校教育法施行規則の第26条で規定
  • 法的根拠のない懲戒は、刑法の脅迫罪や強要罪に該当
  • 学校への対処方法は「違法行為はダメ」と指摘すること
  • 学校の先生の言い訳には、しっかりと反論
  • 他の子と同じ懲戒の基準なら、学校教育法施行規則の第26条に違反
  • 子供の成長を思っても、障害に配慮のない罰・懲戒は法令違反
  • 学校の方針なら、その方針自体が法令違反
  • 障害児でも、健常児でも、体罰は犯罪行為

残念ですが、法令の知識がなく、障害への理解がない先生がいるのが、学校の実態です。
先生にも、しっかりと学校教育で必要な法令などの知識を、勉強してもらいたいですよね。

障害児への配慮は「学校の教員の義務」と知って、きっぱりと対処しましょう。


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