学校と発達障害

学校が発達障害への配慮の要望を聞いてくれない。対処方法はどうする?

発達障害への配慮は、法律で決められた「学校の義務」です。

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1、学校から障害への配慮を拒否される。

学校の先生から、障害への配慮を断られてしまう。

  • 発達障害への配慮の要望を伝えても、学校が対応してくれない。
  • 先生と相談して障害への配慮をお願いしても、聞いてくれない。

発達障害児が、小中学校の通常の学級で、障害のない子と一緒にいると、いろんなトラブルがあります。
他の子と一緒の行動ができなかったり、決められたルールを守れなかったりします。

そんなトラブルの時に、ちょっとした先生からの障害児への配慮があれば、他の子に迷惑をかけずに、障害を持つ子が行動できることもあります。

そんな、ちょっとした障害への配慮を、学校の先生にお願いしても、先生に要望を聞いてもらえない場合があります。

  • 発達障害があるからと言って、特別扱いはできない。
  • 発達障害でも、他の子と同じルールは、必ず守ってもらう。
  • この年齢なら、この程度はできないといけない。
  • 発達障害でも、これができないと、この学校・学級ではやっていけない。
  • 他の子と同じことができないなら、支援学級に行ってもらう。

学校の先生が、障害への配慮を断る時に、よく言う言葉です。

発達障害児を対象とした「特別支援学級」「通級」

もちろん、支援学級や通級なら、発達障害への配慮があります。

小学校や中学校には、発達障害児を対象とした「特別支援学級」が設置されている場合があります。
支援学級がない学校でも、近隣には支援学校が設置されている学校があるはずです。

特別支援学級には、知的障害児を対象とした学級の他に、自閉症や情緒障害者などの発達障害を対象とした学級があります。

発達障害が比較的に重くて「通常の学級」に在籍できない場合には、学校内に設置された特別支援学級に在籍して、障害へ配慮した教育を受けることができます。

また、通常の学級に在籍しながら、苦手な分野の教育だけ、週に1から8時間程度、他の子とは別の場所で障害児教育専門の先生から指導を受ける「通級による指導」制度もあります。

この「特別支援学級」と「通級」では、当たり前ですが、先生は発達障害を持つ子へ、配慮した教育をやってくれます。
しかし、通常の学級に在籍していても、担任の先生から、発達障害への配慮を受けることができるんです。

通常の学級で、先生から発達障害への配慮がなく困っている。

2、障害への配慮は、学校が自発的にやることです。

障害への配慮は、そもそも、学校が自発的にやることなんです。

  • 発達障害への配慮は、学校が自発的にやるのか?
  • それとも、保護者からの具体的な要望でやるのか?

結論は、
障害があることを学校に伝えた時点で、学校は自発的に障害児へ配慮する義務があります。

「学校の先生が、障害への配慮の要望を聞いてくれない。」
これって、実は、学校の先生が義務を果たしていないだけなんです。

小学校や中学校の「通常の学級」、つまり普通学級でも、発達障害児へ配慮することが、法律で義務付けられています。

学校が発達障害児へ配慮を行う条件は、「保護者から学校へ障害であることをしっかり伝えることだけ」です。

配慮の条件は、学校へ障害をしっかり伝える。

学校にしっかり障害へ配慮してもらうには、学校にしっかり障害を伝えることが必要です。

ここでの注意点ですが、発達障害への配慮を受けるためには、学校へ正式に、発達障害であることを伝える必要があります。
まずは、しっかりと先生に口頭で伝えましょう。その時に、「精神障害者保健福祉手帳」や「療育手帳」を取得している場合には、手帳を持っていることを伝えましょう。
また、公的機関の障害判定や専門医の診断を受けている場合には、手帳は取得していないが、正式な診断を受けていると伝えましょう。学校の先生から求められれば、手帳や診断書を提示しましょう。

発達障害の特性は、障害児によって、個人差が大きく、いろいろです。
子供の問題行動の原因が、発達障害によるものかが、判別できないと、学校の先生も配慮のしようがないからです。

専門医の診断などがなく、単に「発達障害かも知れない」と言う、保護者だけの勝手な判断だけではダメです。

3、障害児への配慮の法令的な根拠

学校が、発達障害児へ配慮することは、学校教育法や学習指導要領で決められています。

学校教育法の第81条第1項では、小学校や中学校の通常の学級でも、発達障害などの障害児への配慮した教育を行うことを規定しています。
また、文部科学省令である学校教育法施行規則や、学習指導要領などで、通常の学級で障害児へ配慮するルールを決めています。

学習指導要領とは、学校教育法等に基づき、文部科学省が定めた、それぞれの学校で教育課程(カリキュラム)を決める基準です。
つまり、学習指導要領で決められた基準を必ず守って、小学校や中学校は教育を行います。

この学習指導要領の基準を守るのは、学校が自発的に行うことです。
保護者から要望がある場合にだけ、学習指導要領の基準を守るのではありません。
当たり前ですが、学校は自発的に、必ず学習指導要領の基準を守らなければいけません。

学習指導要領

小中学校の学習指導要領の中で、障害児への教育方法が詳しく決められています。

小学校と中学校の、どちらの学習指導要領でも、第1章の総則の中で、障害児への指導が詳しく決められています。

学習指導要領 第1章総則(抜粋)

障害のある児童などへの指導
障害のある児童などについては、特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ、個々の児童の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。

学習指導要領の解説

文部科学省は、小学校や中学校の先生に向けて、学習指導要領の詳細な解説を作成しています。

この「学習指導要領の解説」は、文部科学省のホームページで、誰でも閲覧することができます。

180902001
180902002
180902003

「学習指導要領の解説」の障害児への指導部分の抜粋です。

学習指導要領の解説(抜粋)

通常の学級にも、障害のある生徒のみならず、教育上特別の支援を必要とする生徒が在籍している可能性があることを前提に、全ての教職員が特別支援教育の目的な意義について十分に理解することが不可欠である。
障害のある生徒などには、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、言語障害、情緒障害、自閉症、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)などのほか、学習面又は行動面において困難のある生徒で発達障害の可能性のある者も含まれている。

障害の種類や程度を十分に理解して指導方法の工夫を行うことが大切である。

校長は、特別支援教育実施の責任者として、校内委員会を設置して、特別支援教育コーディネーターを指名し、校務分掌に明確に位置付けるなど、学校全体の得熱支援教育の体制を充実させ、効果的な学校運営に努める必要がある。

障害のある生徒などの指導に当たっては、担任を含む全ての教師間において、個々の生徒に対する配慮等の必要性を共通理解するとともに、教師間の連携に努める必要がある。

この他にも、特別支援学級での指導方法、通級による指導方法個別の教育支援計画・指導計画の作成と活用など、についての、学習指導要領の詳細な解説が書かれています。

小学校と中学校の、どちらの学習指導要領の解説でも、障害児への指導は、同じ内容です。

特別支援教育のコーディネーターとは

小学校や中学校には「特別支援教育のコーディネーター」と言う役割の教員がいます。コーディネーターとは、調整する役割の人のことです。
特別支援教育コーディネーターは、それぞれの学校で特別支援教育の推進のために、学校での校内委員会や校内研修の企画運営や、関係機関との連絡調整などの役割があります。
障害児の保護者との相談窓口の役割も、この特別支援教育コーディネーターです。

4、学校が障害へ配慮してくれない時の「対処方法」

対処方法は、学校の法令違反を指摘することです。

学校が障害児への配慮の要望を聞いてくれない時の対処方法は、しっかりと「学校の法令違反を指摘すること」です。

小中学校の普通学級でも、障害児への配慮は、本来は学校が自発的にやるべきことです。
その自発的配慮を、学校が怠った上で、さらに、保護者から要望された上でも、障害児への配慮を拒否することは、明確な学校による法令違反です。

  • 「学校教育法や、学習指導要領に、違反するのですか?」
  • 「それは法令違反、違法行為ですよ。」
  • 「これは要望ではなく、法令違反への指摘ですよ。」

障害への配慮を要望しても聞いてくれないような学校の先生なら、お願いを続ける必要はありません。
それ以上、先生だからと言って、下手に出る必要はありません。
だって、法律を守らないような人間なんですから。

障害を持つ子の保護者として、学校の先生に対し、強く厳しく、違法行為を指摘して、法令を遵守させましょう。

法律を守らないような学校の先生には、厳しく対処しましょう。

5、まとめ、学校から障害への配慮を拒否される時の対処方法

学校の先生から、障害への配慮を断られて、困った時の対処方法です。

  • 通常の学級でも、発達障害への配慮が受けられます。
  • もちろん、支援学級や通級なら、発達障害への配慮がある。
  • そもそも、障害への配慮は、学校が自発的にやることです。
  • 障害を学校に伝えた時点で、学校は自発的に障害児へ配慮する義務がある。
  • 配慮の条件は、学校へ障害をしっかり伝えることだけ。
  • 手帳や診断書を提示すると、障害にあった適切な配慮が受けやすい。
  • 発達障害児への配慮は、学校教育法や学習指導要領で決められている。
  • 小中学校の学習指導要領で、障害児への教育方法が詳しく決められている。
  • 学習指導要領の基準を守るのは、学校が自発的に行うこと。
  • 学校から配慮を断られた時の対処方法は、学校の法令違反を指摘すること。
  • 学校の先生に対し、違法行為を指摘して、法令を遵守させる。

泣き寝入りではなく、しっかりと主張して、学校の違法行為をやめさせましょう。


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