自閉症は、人間関係の問題などが特徴の障害です。
自閉症とは?
自閉症(Autism)とは、
- 1. 他人との社会的関係の形成の困難さ
- 2. 言葉の発達の遅れ
- 3. 興味や関心が狭く特定のものにこだわる
自閉症は、主に、この3つの特徴をもつ障害です。
自閉症の症状として、他人に興味や関心がなく、コミュニケーションが苦手、変化が苦手で決まりにこだわり、変な行動を繰り返す傾向があります。
自閉症は3歳くらいまでには、何らかの症状が見られます。
自閉症の具体的な特徴の例
自閉症の子には、こんな特徴があります。
自閉症の原因
自閉症の原因は、親の育て方ではありません。
自閉症を発症するのは、生まれつきの脳の構造や機能の異常が原因と考えられています。
また、遺伝や環境、妊娠中や出産時のトラブルなども原因の一つです。
親の愛情が足りないから、子供が自閉症になるわけではありません。
しつけが悪いからや、甘やかしているからといった、親の育て方が原因ではありません。
高機能自閉症とは?
高機能自閉症とは、知的な遅れがない自閉症のことです。
自閉症の多くは知的障害を伴いますが、知的な遅れがない自閉症を「高機能自閉症」と呼んでいます。
知的な遅れはありませんが、言葉の遅れは見られます。
高機能自閉症の子は、勉強の成績は良いのに、人との会話が極端に苦手という症状が見られます。
高機能自閉症とよく似た症状に、アスペルガー症候群がありますが、アスペルガー症候群では言葉の遅れがありません。
自閉症と合併症
自閉症は、他の障害も合わせ持つことが多いのが特徴です。自閉症の半数以上は知的障害を伴います。知的障害の他に自閉症の合併症として多いのが、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、てんかんです。
自閉症の発生頻度
自閉症は約500人に1人いると言われています。
症状が軽い人たちまで含めると、約100人に1人いると言われています。男女比率は4:1で、男性に多く見られます。遺伝的要因も指摘されていて、自閉症者の近親者では、発生頻度が約5-10倍という統計もあります。
自閉症の特徴の具体例
自閉症の具体的な特徴を紹介します。
急に予定が変わったり、初めての場所に行ったりすると不安になり動けなくなることがよくあります。
そんな時、周りの人が促すと余計に不安が高まって突然大きな声を出してしまうことがあります。周りの人から、どうしてそんなに不安になるのかわからないので、何をしてあげたらよいかわからない」と言われてしまいます。
でも、よく知っている場所では一生懸命、活動に取り組むことができます。
1.人の気持ちがわからない、空気が読めない。自閉症の特徴
相手の気持ちや、その場の雰囲気を読み取って行動するのが苦手です。
人の気持ちがわからない、表情が読めない。
自閉症の特徴は、人の気持ちがわからないことです。厳しい表情の人を笑ってしまう。にらまれても気づかない。相手が嫌な表情をしても気がつかない。人の気持ちが理解できない特徴がありあます。
空気が読めない、雰囲気が理解できない。
自閉症の特徴は、空気を読めないことです。その場の雰囲気が理解できません。いわゆるKY、天然です。学校の式典で、みんなが静かにしている時に一人だけ笑ってしまう。みんなが静かにしているから、自分も静かにするということが理解できない特徴があります。
常識や暗黙のルールが理解できない。
自閉症の特徴は、常識やマナーが守れないことです。友達の物を勝手に使うとダメということが理解できない。なんとなく決まっているルールが理解できない。暗黙のルールが理解できない特徴があります。
その場の状況で対応を変えられない。
自閉症の特徴は、その場の状況で臨機応変に対応を変えられないことです。「思ったことを教えて」といわれると、相手が嫌がることを言ってしまう。会話の内容に応じて、自分の会話の内容や、振る舞いを変えられない特徴があります。
2.コミュニケーションが苦手。自閉症の特徴
言葉の遅れや、感情表現が苦手です。
言葉の遅れがある。
自閉症の特徴は、言葉の遅れがあることです。幼児期には言葉の遅れが見られます。赤ちゃんの頃に喃語(なんご)がでてこない。幼稚園になっても会話ができず単語でしか話せない。相手の言葉をおうむ返ししてしまう。小学生になっても、ちょっと変な喋り方をする。コミュニケーションが苦手で、言葉が遅いのが自閉症の特徴です。
他人に関心がない。友達と遊ばない。
自閉症の特徴は、他人に関心がないことです。友達と遊ばない。友達になじめない。ずっと一人で遊んでいる。自分の世界に入り込んでいる。他人とコミュニケーションをとるのが苦手。自分以外の周囲の人に興味や関心がないことが自閉症の特徴です。
感情表現ができない。
自閉症の特徴は、自分の感情を表現できないことです。思ったことを言えない。自分の気持ちを表情に出さない。泣かない。笑わない。嬉しくても相手に感謝の気持ちを伝えられない。怒っても、悲しくても、喜んでも表情が変わらない。感情表現が苦手なのが自閉症の特徴です。乳児や幼児の頃は、表情が少ないと母親が育てにくさを感じてしまいます。
3.特定の物にこだわる。自閉症の特徴
こだわりが強く、変化が嫌いで、同じ行動を繰り返します。
変化が嫌い。
自閉症の特徴は、変化が嫌いなことです。いつも通りにこだわりがある。いつもと違うと不安になる。予想と違うことがあると不安。予期しない変化でパニックになる。同じ手順にこだわる。他の人が不思議に思うくらい同じことにこだわり、変化が嫌いなことが自閉症の特徴です。
特定のものにはマニアック。
自閉症の特徴は、こだわりが強く、自分に興味があることに極端にマニアックなことです。自動車のことを暗記している。電車が好きでずっと見ている。地図を覚えている。自分に興味があることには、異常にこだわり、膨大なデータを暗記したり、集めたりしている。自分が関心があることだけ異常にマニアックなのが自閉症の特徴です。
同じ行動を繰り返す。
自閉症の特徴は、同じ行動をずっと繰り返すことです。ぴょんぴょん飛び続ける。いつも同じ物を触っている。手を振り続けている。クルクル物を回し続ける。同じことを繰り返す「常同行動」をするのが自閉症の特徴です。
4.体育、運動が苦手、手先が不器用。自閉症の特徴
運動神経が悪く、手先が不器用です。
体育、運動が苦手、運動神経が悪い。
自閉症の特徴は、運動が不得意で、運動音痴なことです。体育の縄跳び、跳び箱が苦手。鉄棒の逆上がりができない。ラケットやボールなどの道具を使った運動が不得意。ダンスや体操が苦手。極端に運動神経が悪いのが自閉症の特徴です。
手先が不器用で、道具を使うのが苦手。
自閉症の特徴は、手先が不器用で、道具を使うのが苦手なことです。鉛筆や箸を使うのが苦手。字が汚い、絵が下手。ひもが結べない。ハサミがうまく使えない。指先が不器用、手先が不器用、体を使うのが不器用。極端に不器用なのが自閉症の特徴です。
5.感覚が偏っている。自閉症の特徴
食べ物の好き嫌いが激しく、いろんな感覚が過敏です。
偏食、好き嫌いが激しい。
自閉症の特徴は、食べ物の好き嫌いが激しいことです。特定のものしか食べない。肉がダメ。魚がダメ。特定の野菜がダメ。味覚が過敏で食べ物の好き嫌いが激しい。好き嫌いが激しく偏食なことが自閉症の特徴です。
触れる物を嫌がる。
自閉症の特徴は、触覚過敏で触れる物を嫌がることです。乳児や幼児の頃に抱きしめると嫌がる、手を繋ぐことを嫌がる。帽子を嫌がる。あごひもを嫌がる。服の素材が違うと嫌がる。歯磨きや耳かきを嫌がる。触覚が過敏で触れる物を嫌がるのが自閉症の特徴です。
大きな音を嫌がる。光を嫌がる。
自閉症の特徴は、聴覚過敏で大きな音を嫌がったり、視覚過敏でちょっとした明かりを眩しく感じることです。大きな音でパニックになる。周囲の雑音が気になり集中できない。白い紙を眩しく感じる。周囲はなんともない明かりを眩しく感じる。聴覚が過敏や視覚が過敏なのが自閉症の特徴です。
においに敏感、痛みを感じない、姿勢が悪い。
自閉症の特徴は、いろんな感覚が偏っていることです。嗅覚が過敏でちょっとしたにおいが我慢できない。血がでても痛みを感じない。自分の体を傷つける自傷行為がある。平衡感覚が偏っていて姿勢が悪い、クルクル体を回しても全然目が回らない。いろんな感覚が偏っているのが自閉症の特徴です。
6.抽象的な曖昧な表現がわからない。自閉症の特徴
抽象的なことや、曖昧なことが理解できません。
抽象的な曖昧な表現が理解できない。
自閉症の特徴は、抽象的な表現や曖昧な表現が理解できないことです。「あれ」「いつか」「たぶん」「ちゃんと」こういった抽象的な表現が理解できない。あいまいな表現が理解できないことが自閉症の特徴です。
冗談や皮肉が理解できない。
自閉症の特徴は、慣用句や冗談、皮肉などが理解できないことです。比喩表現を言葉通りの意味に解釈してしまう。ユーモアが通じない。具体的で直接的な表現だけしか理解できないことが自閉症の特徴です。
7.要領が悪い。自閉症の特徴
要領が悪く、行動の切り替えが苦手です。
複数のことが同時にできない。要領が悪い。
自閉症の特徴は、要領が悪くて、複数のことが同時できないことです。黒板に書いていることを見ながら、ノートに書き写す。黒板に書いていることは理解出来る。なぞればノートに書ける。でも前を見ながら、同時に下のノートに書くということができない。一つ一つのことはできても、それを同時にできないのが、自閉症の特徴です。
行動が切り替えられない。
自閉症の特徴は、一つのことをいつまでもやめない、行動が切り替えられないことです。周囲の人が声をかけても、聞こえていないようにずっと同じことを続けてしまう。「片付けの後に食事」と言われても、ずっと片付けを続けてしまう。一つのことしかできなくて、行動が切り替えられないことが自閉症の特徴です。
時間の概念があまりない。
自閉症の特徴は、時間を区切って行動できない、時間の概念があまりないことです。次のことを10時30分から始める、といったことができない。時間の区切りがつけられない。学校では国語の時間と算数の時間の切り替えができない。昔あったことを、ついさっきのことのように話したりする。集中しすぎて時間が区切れない。ダラダラして時間を区切れない。あまり時間の概念がないことが自閉症の特徴です。
自閉症スペクトラム障害とは?
ASD:Autistic Spectrum Disorder
スペクトラムとは連続といった意味です。
自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群などを同じ障害と捉えて、自閉症スペクトラム障害(ASD)と呼びます。
以前は、自閉症とアスペルガー症候群は、別の障害とわけて考えられてきました。この自閉症とアスペルガー症候群を、本質的には同じ連続している障害という考えが、最近では多くなってきました。
自閉症スペクトラム障害に、知的障害の有無は関係ない。
自閉症スペクトラムの診断には、知的障害の有無、言語能力の高低は、関係ありません。
- 知的障害の有無は関係ない。
- 会話などコミュニケーション能力の高低は関係ない。
自閉症スペクトラムに含まれる発達障害
いろんな障害をまとめたのが、自閉症スペクトラム障害です。
- 自閉症(知的遅れが伴う)
- 高機能自閉症(知的遅れ無)
- アスペルガー症候群(知的遅れ無、言語能力高い)
このように自閉症スペクトラム障害は、知的障害の有無、言語能力の高低がみられる障害の連続した総称となっています。
この他にも、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害も、自閉症スペクトラム障害に含まれます。
自閉症スペクトラム障害と広汎性発達障害PDDは、ほぼ同じ意味です。
自閉症スペクトラム障害は、広汎性発達障害PDDとほぼ同じ意味になります。広汎性発達障害という名称では、障害のイメージがわからないという意見もあるため、最近では自閉症スペクトラム障害という呼び方が増えてきています。
自閉症スペクトラムの診断基準
自閉症スペクトラム障害の診断は以下の3つの基準で行います。
- 1.対人関係の形成が難しい「社会性の障害」
- 2.会話が苦手な「言語コミュニケーションの障害」
- 3.想像力や柔軟性が乏しく、変化を嫌う「想像力の障害」
この3つの障害がみられる場合は、自閉症スペクトラム障害と診断されます。