発達障害とは、生まれつきの個性で、日常生活が困ってしまうこと。
発達障害とは、生まれつきの個性で、日常生活が困ってしまうこと。
発達障害とは? 発達障害ってなに?
Developmental disorder:発達障害
発達障害とは、発達の過程で見られる、行動、コミュニケーション、社会への適応の障害です。わかりやすく言うと、生まれつきの個性で、日常生活が困ってしまうことが、発達障害です。
- 自閉症
- 広汎性発達障害
- 注意欠如・多動性障害ADHD
- 学習障害LD
- アスペルガー症候群
これらの総称として、発達障害と呼んでいます。
法律上での、発達障害は?
発達障害支援法第2条では、発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義しています。
知的能力と発達障害の関係、IQが高くても発達障害
知能指数IQが高くても、発達障害の場合もあります。
知的能力とは、読み書きなどの言語性能力や、推論処理などの動作性能力のことです。知的能力を数値によって評価したものが、知能指数IQです。
知能指数IQは、100が平均的な知的能力で、数値が高いほど知的能力が高くなります。
逆に、知能指数IQが低いほと、知的能力は低く、IQが69以下であれば知的障害と診断されます。
知的能力が高くても、発達障害の程度が軽くなる訳ではありません。
発達障害とは、社会にうまく適応できない障害です。IQが高くても、こだわりが強すぎたり、人間関係が苦手な場合もあります。
1943年に自閉症を初めて報告したのは、アメリカの児童精神科医のレオ・カナーです。
カナーの研究対象では、発達障害である自閉症と、知的障害を伴う子供が多数でした。そのため、今でも知的障害を伴う、低機能自閉症のことを、カナー型自閉症と呼んでいます。
カナーの報告の翌年に、知的能力の高い発達障害を報告したのが、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーです。
その後、発達障害の研究が進むにつれて、知的能力の高い発達障害が、広く知られるようになりました。
アスペルガー症候群や、高機能自閉症は、知的な遅れがない発達障害です。
知的能力の高さと、発達障害の程度は、別の次元なのです。
発達障害の原因、親の育て方ではありません。
親の育て方、しつけ不足が原因じゃない。生まれつきの脳の構造や機能の異常が原因です。
発達障害の原因は、生まれつきの脳の構造や機能の異常
発達障害は、生まれつきの脳の構造や機能の異常が原因です。多くの遺伝的要因が関与して起こる先天的な脳機能障害で、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると考えられています。
単なる性格や、クセとは違い、脳の認知機能に、なんらかの特徴があって、発達障害が起こります。
しかし、正確な原因は、まだ完全にはわかっていません。
親の育て方、しつけ不足は、原因ではありません。
- 発達障害は、親の育て方が原因ではありません。
- 親のしつけ不足が原因ではありません。
- 親の愛情不足が原因ではありません。
発達障害の原因は、親が甘やかすからでも、養育態度が悪いからでもないのです。
また、心の病気(精神の病気)ではありません。
ただし、発達障害が引き起こす二次障害では、親の育て方が大きく影響します。
正確な原因は、まだ完全にはわかっていません。
双子と発達障害、遺伝は重要な原因だけど、全てではない。
親からの遺伝も、発達障害の重要な原因の一つと考えられています。しかし、必ず遺伝だけで決まるわけではありません。
一卵性の双子の場合。
遺伝子が同じ双子の一卵性双生児が発達障害の場合、もう一人が発達障害をもつ割合は80%程度です。
遺伝だけが発達障害の原因なら、一卵性双生児は100%一致するはずですが、100%にならないということは遺伝だけが原因ではないということです。
また、発育の環境も、双子なら、ほぼ同じはずですが、それでも100%一致しないのです。
二卵性の双子の場合。
双子でも二卵性双生児の場合、両方に同じ発達障害がある割合は10%程度です。
遺伝子が同じ一卵性に比べて、二卵性では遺伝子が違うので、発達障害が共通の割合が、大幅に下がります。
二卵性でも、双子なので発育の環境は、ほぼ同じはずです。それでも、わずか10%程度しか、一致しないのです。
双子の発達障害の関係から、遺伝と発達障害は、次のように考えられています。
- 遺伝は発達障害の重要な原因である。
- ただし、遺伝だけが、発達障害の原因ではない。
妊娠中や出産時のトラブル、環境ホルモンも原因の可能性あり。
妊娠中や出産時のトラブルなども、関係している可能性も指摘されています。
また、環境の影響も指摘されています。環境ホルモンと呼ばれる化学物質があります。環境ホルモンが妊娠中の母親に影響することが、発達障害の原因の一つとも指摘されています。
染色体異常の病気の中には、合併症で発達障害が発生するものもあります。
ただ、妊娠中の母体の影響が発達障害の原因なら、一卵性でも二卵性でも、双子の発達障害が共通する割合は同じになるはずです。しかし、一卵性と二卵性では、発達障害が共通する割合が大きく違います。
このことから、妊娠中のトラブルだけが、発達障害の原因とは、考えられません。
現在のところ、妊娠中や出産時のトラブル、環境ホルモンなどが、発達障害の直接の原因だと、科学的に証明はされていません。
しかし、原因の一つであると指摘する専門家の意見は少なくありません。
発達障害は成長とともに変化、周囲の支援で改善できる。
発達障害は成長とともに変化します。
生まれつきの個性なので、成長とともに発達障害は変化する。
発達障害は、脳の発達が生まれつき通常とちょっと違っているので、小さい頃から行動やコミュニケーション障害の症状がでてきて、通常の育児に適応できないことがあります。
発達障害を持つ子が成長していくと、自分自身のもつ不得意で苦手なことに気がつき、社会生活に難しさを感じることがあります。
しかし、発達障害は発達の過程が通常と違うだけで、「先天的なハンディキャップ」や「一生発達しない」のではありません。発達障害への支援のあり方によって、発達障害がハンディキャップとなるかが決まるのです。
周囲の支援で改善される。
発達障害は、周囲の支援で改善できる。大人になってからでも大丈夫。
人は誰でも、周囲の人間関係や環境から影響を受けて発達していきます。家庭の環境や学校・教育の環境、いろんな環境に影響を受け、一生涯を通して発達していきます。発達障害の人も同じです。成長とともに発達障害の人にも改善され発達していくことが多くあります。
逆に、周囲の支援、サポートがないと、発達障害がもとになって、うつ病などの二次障害を引き起こします。
大人になってからでも、改善できる。
小さい頃に支援が受けられず、難しい環境で育ってきた発達障害の人も、適切な支援と周囲からの理解があれば、どの年齢からであっても、改善へ進めるのです。
発達障害の二次障害、予防方法は?、うつ病、拒食症・過食症、非行 |
広汎性発達障害とは?
広汎性発達障害とは?
PDD:pervasive developmental disorder
広汎性発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の発達障害など、これらの総称です。
自閉症などの個別の区分に分類できない場合には、広汎性発達障害と診断されます。最近では、広汎性発達障害PDDとほぼ同じ意味で、自閉症スペクトラム障害という名称が使われています。
広汎性発達障害の症状
広汎性発達障害はいろいろな発達障害を含む総称なので、その症状も他の発達障害の症状を合わせたものです。
- 1. 対人関係の障害
- 2 コミュニケーションの障害
- 3. パターン化した興味や活動
などが広汎性発達障害の主な症状です。
発達障害の症状は、明確に区分できない場合もある。
それぞれの障害の種類の特徴が、少しずつ重なることも多いため、発達障害の症状のどれにあたるかを、明確に区分することができない場合もあります。また、年齢によって症状が変化することもあり、診断の時期で発達障害の種類が違う場合もあります。