2種類の発達障害を、同時に併せ持つこともあります。
発達障害は、複数の種類が同時に並存する。
自閉症とADHDのように、種類の違う発達障害が、並存している場合があります。
- 自閉症
- 高機能自閉症
- アスペルガー症候群
これらの発達障害には、それぞれの障害に明確な境界線がありません。そのため、「自閉症スペクトラム障害」として、包括的に診断しています。
つまり、アスペルガー症候群の特徴と、自閉症の特徴を併せ持つ場合があるのです。
注意欠如多動性障害ADHDは、自閉症スペクトラム障害とは、診断基準が違います。
また、学習障害LDも、他の発達障害とは、診断基準が違います。
判断基準が異なる発達障害であっても、同時に2種類以上の障害が並存する場合があります。
医師によっても、診断が変わることもある。
発達障害を並存している場合は、診断する医師によって、発達障害の種類が変わる場合があります。
例えば、アスペルガー症候群とADHDを並存する場合には、どちらか特徴が強く見られる単独の障害と診断することがあります。もちろん、アスペルガー症候群とADHDの並存と診断する医師もあります。
それぞれの医師が間違った判断をしている訳ではなく、並存する発達障害の区分が明確でないためです。
成長すると発達障害の種類が変わる。
成長するにつれて、診断される発達障害の種類が変わる場合もあります。
例えば、小学生の時には、多動性や注意力不足からADHDと診断されていた子が、中学生になると自閉症と診断される場合もあります。
これは、ADHDの多動性が年齢とともに落ち着いて目立たなくなると、自閉症の特徴が目立つようになるためです。
特徴が強く見られる発達障害の影に隠れて、他の発達障害も並存していただけなので、この場合も医師が間違った誤診ではありません。
複数の発達障害で、生活の難しさも倍増。
2種類の発達障害があれば、生活の難しさも倍増します。
例えば、学習障害LDの特徴と、アスペルガー症候群の対人関係が苦手な特徴、この両方があると、学校生活では、勉強が困難で、生活面でも友達付き合いも困難になります。
単独の障害の場合に比べると、学校生活に適応する難しさが倍増します。
改善は複数の種類の方法で対応
複数の発達障害を改善するためには、それぞれの発達障害の種類に対応した方法を、複数同時にやる必要があります。
ADHDなら、学校の授業中に集中力が途切れないようにする方法。
アスペルガー症候群なら、授業中の態度のマナーを守るようにする方法。
これらを複数同時にやる必要があるため、単独の障害と比べると、発達障害を改善する方法も難しくなります。
ADHDとLDが並存する場合
この並存のケースでは、学校生活で勉強の成績アップが非常に難しくなります。
- 注意欠如多動性障害ADHD
- 学習障害LD
ADHDは注意力が弱いため、授業に集中できません。ADHD単独の障害の場合は、勉強そのものの理解力は問題ないので、勉強に集中できる環境を整えることによって、発達障害を改善することができます。
LDは、読み・書き・計算などの一部の学習能力に問題があります。LD単独の障害の場合は、その問題となる分野を補助することによって、勉強全体には遅れないような対応をします。
ADHDとLDが並存する場合は、問題点がわかりにくくなります。ADHDの対策として、勉強に集中できる環境を整えても、LDの特徴で、特定分野の学習能力が弱く、勉強に追いつけないのです。
ADHDと自閉症が並存する場合
この2つは並存する確率が比較的高い発達障害です。
- 注意欠如多動性障害ADHD
- 自閉症
自閉症とADHDを併せ持つ発達障害であれば、自閉症の対人関係が苦手な社会性の障害と、ADHDの注意力不足を併せ持ちます。
ADHD単独であれば、成長とともに落ち着きがでて、衝動性が少なくなります。
また、自閉症単独であれば、対人関係の弱さを周囲の理解で克服できることもあります。
しかし、ADHDと自閉症が並存してると、年齢とともに衝動性が落ち着いても、今度は対人関係のトラブルが発生してしまいます。
一つが解決しても、もう一つの問題が発生し、社会に適合できません。
運動障害、感覚障害も同時に並存する。
発達障害があると、運動が極端に苦手な運動障害や、感覚が過敏過ぎたり、鈍感だったりする感覚障害を、多くの場合で併せ持ちます。
運動障害、運動神経が悪い。
発達障害があると、運動が苦手な場合が多いです。
なわとび、鉄棒、跳び箱、ボールを使う競技など、運動の中でも、道具を使った運動が特に苦手です。
例えば、縄跳びでは、手で縄を回しながら、目で縄の動きを追って、タイミングを見計らって、ジャンプします。
いろんな全身の感覚を使って、はじめて縄跳びの運動ができます。
このように全身の感覚を使って一つの運動を行うことを、感覚統合と言います。
発達障害を持つ子は、この感覚統合が弱いことが原因と考えられています。
感覚障害、感覚が過敏、感覚が鈍い。
それぞれの感覚が過敏すぎて問題の場合もあれば、鈍感すぎて問題となる場合もあります。
- <視覚>、眩しさに弱い。対象物を見分けられない。
- <聴覚>、大きな音、拍手、サイレンなどを怖がる。
- <嗅覚>、ちょっとした臭いが我慢できない。
- <味覚>、極端に偏食で、好き嫌いが強すぎる。
- <触覚>、触れただけで痛がる。暑さ寒さを感じない。
けいれん、てんかん・チックがあることも。
発達障害があると、痙攣の症状が並存する割合が多く見られます。
てんかん・癲癇は、脳神経が原因で発作が起こります。
チックとは、顔の頬など、体の一部がピクピクと痙攣する症状です。
てんかんも、チックも、本人の意思とは関係なく、脳の神経が原因で発生する症状です。
発達障害も、脳の機能が根本的な原因なので、痙攣症状と並存する場合があるのです。
これは、脳の神経の中でも、発達障害に関わる部位と、痙攣症状に関わる部位が、近接しているからだと考えられていますが、まだ完全にメカニズムは解明されていません。