自閉症などの発達障害と似た特徴がある、精神疾患があります。
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<目次>、発達障害の特徴に似た心の病気
- 1、統合失調症
- 2、不安障害
- 3、強迫性障害
- 4、社交不安障害・対人恐怖症
発達障害は「心の病気・精神疾患」ではありません。
しかし、精神疾患の中には、発達障害と同じような特徴を持つものがあります。
統合失調症
- 考えや感情がまとまらなくなる。
- 幻覚や妄想の症状がでてくる。
このような症状の精神病が、統合失調症です。統合失調症は、以前は、精神分裂病と呼ばれていました。
10代から20代にかけてが、統合失調症の発症しやすい時期です。
統合失調症の症状の具体例
統合失調症の典型的な症状は、幻覚の中でも、実在しない声や音が聞こえる、幻聴です。
また、根拠のないことを事実と確信する、妄想も統合失調症で多く見られる症状です。
実在しない声を聞く幻聴が、妄想を引き起こしていきます。
- 見えない誰かと会話する、幻覚。
- 悪口を言われる、嫌がらせをされる、などの被害妄想。
- 自分は大富豪だ、自分は大発明をした、と思い込む誇大妄想。
- 監視されている、盗聴されている、と思い込む注察妄想。
- 誰かに追われている、と思い込む追跡妄想。
このような症状は、統合失調症の発症初期に、よく見られます。
発症初期は急性期とも呼ばれ、急に症状が現れるのが、統合失調症の特徴です。
この初期症状は、陽性症状と呼ばれています。
統合失調症は、急性期が過ぎると、陰性症状と呼ばれる状態になります。
- 喜怒哀楽の感情がなくなる、感情の平板化。
- 自分だけの世界に引きこもる、自閉。
- 家族でも友達でも、他人に無関心になる。
- 意味もなく笑いだす、独笑
- 思考力が低下し、特定のことにこだわる、常同的思考。
このような症状が、統合失調症の陰性症状です。急性期の症状によるエレルギーの低下から、陰性症状が発症すると考えられていて、この時期は消耗期とも呼ばれます。
発症初期の急性期の陽性症状から、消耗期の陰性症状へ移行するかは、個人差があります。
統合失調症で、この陰性症状が出てくると、家族や周囲の人との間で、トラブルになってきます。
統合失調症と発達障害の見分け方
統合失調症は、発達障害の自閉症の特徴とよく似ています。
自閉症でも、幻覚や妄想の症状がでることがあります。また、統合失調症の陰性症状のほとんどは、自閉症でも見られることがあります。
自閉症でも、厳し過ぎる指導や、いじめを受けると、被害妄想が出ることがあります。また、挫折を繰り返すことでも、被害妄想の症状が出てきます。
一時的な症状から、統合失調症と、発達障害の自閉症を見分けることはできません。
2つの見分け方のポイントは、自閉症は生まれつき、統合失調症は急激に発症という点です。
発達障害の自閉症は、生まれつきの障害です。自閉症であれば、子供の頃から軽度であっても何らかの症状が出ているはずです。
自閉症の発達障害者が、統合失調症を発症する場合もあります。
一時的な症状から、統合失調症と自閉症を見分けるには、精神科の専門医の診断を受けましょう。
不安障害
不安障害は、日常生活に支障が出るほど、極端に不安におびえる精神障害です。
ストレスや恐怖にさらされた時に、感情の抑制ができない精神症状加えて、発汗や動悸などの身体症状を発症します。
ストレスや恐怖で、身体症状が出るのが、不安障害です。
不安障害の種類には、
- 全般性不安障害
- 特定の恐怖症
- パニック障害
- 強迫性障害
- 社交不安障害
- 心的外傷後ストレス障害
などがあります。
不安障害の中で、発達障害の特徴と似ているのは、強迫性障害と社交不安障害です。
強迫性障害
本人の考えとは関係なく、不安や気持ちや、悪いことが起こる恐怖を、生じてしまうことを、強迫観念と言います。この強迫観念は、ほとんどの人が経験することですが、そんなことを普通の人はいつまでも気にしません。
不安を解消するために、無駄なこと、無意味なこととわかっていながら、行動することを強迫行為と言います。他人が見ると、意味不明な行動でも、強迫行為を行う本人は、その行動をしないと気がすみません。
強迫観念によって、強迫行為を繰り返すのが、強迫性障害です。
強迫性障害には、不潔強迫や確認強迫などの種類があります。
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不潔強迫の具体例
- 何度も何度も手洗いを繰り返す。
- トイレに入っただけで全身をシャワーで洗う。
- お金を触ったら、手洗いを繰り返す。
- 他人の手に触れられない。
- 手すりに触れられない。
- 電車の座席に座れない。
不潔強迫では、多くの人が気にしない程度のことで、汚れたと感じ、異常なまでの洗浄行為を繰り返します。
潔癖症とも言う、この不潔強迫は、強迫性障害で最も多く見られます。
本人は、無駄なことをしている自覚があるのが、強迫行為の特徴です。
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確認強迫の具体例
- 外出したら、戸締りが気になり、何度も戻って確認する。
- スイッチを切ったか、何度も確認する。
- 寝る時に窓閉めを、何度も起きて確認する。
確認強迫では、気になることを、何度も繰り返し確認してしまいます。
強迫性障害では、何度も確認することを、情けないことと感じています。
強迫性障害と発達障害の見分け方
強迫性障害はの強いこだわりの特徴は、発達障害の自閉症やアスペルガー症候群の特徴に似ています。
しかし、発達障害が原因の強いこだわりの場合は、本人が無駄なこと、無意味なことという自覚がないのが特徴です。
- 本人の自覚あり、強迫性障害
- 本人の自覚なし、発達障害
無意味な強いこだわりの行為に対しての、本人の自覚の有無が、見分け方の目安です。
社交不安障害・対人恐怖症
社交不安障害では、人の前での発表などに、強い恐怖を感じます。人前での恐怖から、発汗、赤面、喉の渇き、心臓の動悸、手足の震えなど、身体的な症状が現れます。
社交不安障害は、対人恐怖症とも言い、以前は、社会恐怖、社会不安障害と呼ばれていました。
シャイで、恥ずかしがり屋の人は、人前に立つと、赤面したり、あがったりします。しかし、単にシャイな人は、身体的な症状はあまりありません。また、何度も人前に立つ経験をすると、慣れてあがりにくくなります。
社交不安障害の人は、過去の人前での失敗体験などから、同じ状況になると、強い不安から動悸や発汗や震えなどの身体的症状がでてきます。
社交不安障害が繰り返されると、学校や会社に行けなくなり、重症化すると、家から外出できなくなります。
また、社交不安障害のストレスが原因で、うつ病を併発するリスクもあります。
発達障害と社交不安障害・対人恐怖症の見分け方
社交不安障害、対人恐怖症では、人前で恐怖を感じると、動悸や震えなどの身体的な症状が出ます。
ただ単に発達障害で、人とのコミュニケーションが苦手なだけの場合は、動悸や震えなどの身体的な症状がありません。
身体的な症状の有無が、見分け方のポイントです。
発達障害のアスペルガー症候群は、人とのコミュニケーションが苦手な特徴がありますが、自己中心的で、他人のことを気にしないので、対人恐怖症にはなりにくいと言えます。
その反対に、コミュニケーションが苦手で、自閉症の傾向があると、相手の気持ちがわからないことに、ストレスを感じで、対人恐怖症を発症しやすいと言えます。
発達障害が原因で、社交不安障害・対人恐怖症を発症することもあるのです。